2024年12月2日(月)、官民共創HUB(東京都港区虎ノ門)で、特定非営利活動法人中小企業・地域創生ネットワーク主催による「これからの中小企業振興・地域創生セッション」が開催されました。当日は30名の方が来場されました。
国内の人口減少や頻発する災害、グローバル化における為替やサプライチェーンの変化の影響など、中小企業を取り巻く経営環境は常に変動に晒されています。政府や公共機関、金融機関等において多層的な中小企業支援の枠組みが作られ、年々そのあり方は様変わりしています。
全国各地域において中小企業支援に携わる方々においては、枠組みや制度の普及展開等への対応に追われ、真に各々の地域の実態に応じた支援の在り方、有用な打ち手について腰を据えた検討が難しい状況にあるのではないでしょうか。特に地方・地域においては支援者の人材不足といった問題もあり、構想を実行に移すことが難しい実態もあります。その一方で、首都圏を中心に中小企業支援の専門家候補が偏在しており、支援先とのマッチングを行うことで課題解決に繋がる可能性があると考えます。
当NPOでは、地域の中小企業支援に携わる機関の方々、例えば自治体の商工・産業振興・地方創生担当や商工会・商工会議所、地域金融機関の方々と、中小企業の支援に携わる専門家の方々で集まり、各々の地域において有用な打ち手・戦略を考えるきっかけになるような情報提供の場を創出します。
その第一弾として、今回、中小企業の支援施策の実態について有識者からの講演や、地域の経済分析および診断手法について紹介し、中小企業の支援に携わる方々のネットワーキングのセッションを開催しました。今回のセッションを皮切りに、首都圏と地方をつなぎ、地域を越えて、官民共創による社会インパクトの活性化に向けた活動を進めていきます。
はじめに開会挨拶として、NPO法人中小企業・地域創生ネットワーク理事長の小林 幹彦(こばやし みきひこ)からNPO法人中小企業地域創生ネットワークの設立経緯と目的について説明。地域振興を経済的・経営的視点から支援する目的で10名の社員とともに活動していることが説明されました。主な活動範囲として、地域プランニング支援、調査研究、人材育成、地域産品の活用支援などを通じて、持続的発展の基盤作りを目指すことが強調されました。
続いてセミナーとして、「地域診断事業の復刻に向けて」として、NPO法人中小企業・地域創生ネットワーク理事 橋本 孝(はしもと たかし)から講演が行われました。かつての中小企業大学校での地域診断実習の内容や、商店街診断、広域商業診断、産地診断などの歴史的経緯が説明されました。50人規模で実施されていた診断実習が、現在は形を変えて継続されている状況が報告されました。昨今の公的診断の縮小と、新しい診断手法の必要性について言及しました。

パネルディスカッションとして「地域・中小企業支援エコシステム構築に向けた商工会と首都圏診断士との連携」と題して、勝本経営労務オフィス代表 勝本光久(かつもと みつひさ)様、南伊豆町商工会 木下 和孝(きのした かずたか)様、NPO法人中小企業・地域創生ネットワーク理事 岩井 智洋(いわい ともひろ)から、南伊豆町での実践例を中心に、首都圏の診断士との連携による取り組みについて説明しました。特に企業内診断士の活用可能性について言及しました。
木下氏からは、人口減少が進む地域での具体的な支援活動について報告がありました。南伊豆町商工会では400社の会員に対して経営指導員2名という現状や、まちバルイベント(178店舗参加)などの地域活性化の取り組みが紹介されました。



パネルディスカッションでは、災害時の支援体制構築、インバウンド対応、補助金申請支援など、具体的な課題と解決策について議論されました。特に、首都圏の診断士(約5300人)の知見を地方で活用する方策について、活発な意見交換が行われました。
その後、会場での立食懇親会が開催されました。

今回のセッションが、中小企業支援にかかわるお仕事に携わる団体の皆様や、中小企業支援の専門家の皆様、組織や立場を越えて、これからの中小企業支援や地域創生に向けて真に必要なことは何なのか、課題感を明らかにし、地域戦略を検討する、そんな機会になれば幸いです。
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